東大阪のフリーランスウェブデザイナー、坂本典子のブログです。

Adobe Creative Jamに参加して、自分にとっての芸術の概念を考えてみた

What is art?

ブログを書こう書こうと思いながら、すっかりタイミングを逃してしまったのですが、先日「Adobe Creative Jam vol.3 in 大阪」というイベントに参加してきたので、その感想や考えたことなど書いておきます。

Adobe Creative Jam vol.3 in 大阪、このイベントはソフトウエア会社のAdobe(アドビ)が全世界で開催しているクリエイティブセッションで、出場チームがJamingという即興のパフォーマンス作品を作って発表して競い合うというイベントです。日本では3回目の開催、しかも初の大阪開催ということで、すごく楽しみに見学してきました。

Adobe Creative Jam vol.3 in 大阪

会場は味園ユニバース、キャバレーのキラキラ照明がムード満点で、イベントの高揚感を演出するのにぴったりな雰囲気です。

普段はウェブ制作の同業者が多いセミナーに参加することが多いのですが、このイベントで周りの方とお話しすると、グラフィックデザイナーや映像クリエイターの方も多く、大きいくくりでのデザイン関係者が多く集まるイベントだったと思います。普段接点のないジャンルのクリエイターさんといろいろお話できて、すごく楽しかったです。

テーマは「芸術は○○だ!」

当日発表されたお題は「芸術は○○だ!」。この○○の中に、何が入るかは自由で、そのテーマで作品を作ってくださいというものでした。

テーマが発表されるとすぐに参加クリエイターの方々がもくもくと制作を開始されます。 制限時間は3時間。その後のプレゼンテーションタイムでも、各チームでそれぞれ渾身の作品を発表されとても刺激を受けました。

突き抜けたネタと会場参加型コンテンツは強い

簡単に結果だけ書くと Graphic部門は株式会社人間さん、Motion部門はバスキュール大阪さんのチームが優勝されました。

他にもたくさん発表がありましたが、個人的な印象としては、会場に来ている参加者のアクションを集めた会場参加型の作品や、企画のネタ感が突き抜けた作品というものに評価が集まりやすいと感じました。

短い時間ではありますが、それは普段されているお仕事を垣間見たような気がします。 テーマが当日発表たものであっても、この1日に標準を合わせてあらかじめ鉄板で受けるネタを考えたり、素材をこつこつと準備されていたり、そういう水面下での意気込みを感じました。

また人を巻き込む仕掛けという点では、バスキュール大阪さんの双方向性のある作品は、作る側と見る側の線引きをあいまいにして、見る側を作品に強く引き込んでいく「自分ごと化効果」が高評価につながったと思います。こういう「参加するライブ感」は昨今のイベントには欠かせないですし、それぞれイベントという場にあったテーマという印象を受けました。

目で見る心の木

そんな中で、私が個人的に一番共感を覚えたのは、イラストレーターの上田バロンさんとアニメーターの辻田幸広さんチームの、「芸術は目で見る心の木だ」という作品です。

人が考えているものは目に見えない
そのアタマの中で考えていることを視覚化するとどうなるか
イマジネーション=想像

「想像」というキーワードから「想」という漢字を抜き出し、それを解体してテーマを作り、上田バロンさんの特徴的なイラストに命が吹き込まれたような、幻想的なアニメーションが発表されました。

自分の子供時代を思い出して共感

私は小さな頃、すごく妄想癖のある子供でした。好きな絵本や漫画の続きを自分のアタマの中で勝手に作ってみたり、チラシの裏にその情景をひたすらお絵かきしたり。 「芸術は目で見る心の木だ!」は、そんな自分の子供時代を思い出すようで、イマジネーションを視覚化された作品だったのです。

限られた時間内にアイデアを「見える化」する技術

デザインや映像作品を限られた時間内で制作するというのは本当にシビアです。 私も2回ハッカソンに参加したことがあるのですが、チームでブレストしてコンセプトやアイデアをまとめていくって結構時間がかかりますし、実際に形にして発表するまではチームワークや勢いと、ストーリーを語るシナリオや緻密な計算が必要です。

イベント後の交流会で辻田さんに直接お話をうかがうことができたのですが、3時間という制限の中でコンセプト作りはたったの30分だけ。あとはひたすら手を動かす時間だっだとおっしゃっていました。

その30分が一番根幹を決める30分で、そういう中でコンセプトを作っていく工程のお話を聞けたのは勉強になりました。

だれかひとりの心に刺さるのか、今回のイベントのように大勢のオーディエンスがいる場合はいかに多くの人の心をひきつけるか、そういうことも重要になってきます。

自分にとっての芸術って何?

「じゃあ私にとって芸術って何なんだろう?」帰ってからも、そんなことをずーっとぐるぐる考えていました。 普段お仕事でしているデザインを芸術ととらえてしまうと、自分のこだわりやエゴに縛られ、柔軟な考え方ができないと思っています。そういう意味でも「デザインは芸術ではなくて伝える手段」だと考えているので「芸術」ということをあえて意識する機会がなく、なかなか答えが出なかったのです。

そして最終的に私にとっての芸術は「自分の心を豊かにしてくれるもの」じゃないか、という答えになんとなく落ち着きました。


おんがく

まど・みちお作詞 木下牧子作曲「おんがく」のイメージから

趣味で続けているフラワーアレンジメント(視覚、嗅覚、触覚)もそうですが、合唱団でふれる音楽(聴覚)歌詞(文章)、日々過ごすなかでインスピレーションを与えてくれるもの。そしてデザインのお仕事も一部分は入っています。そんな自分の心を豊かにしてくれるものすべてが私にとっては「芸術」なのです。

まとめ

つらつらと書きましたが、何かを作って表現する楽しさ、そしてコンセプトを考える工程、言葉の大切さ、いろんな気づきを与えてくれたイベントだと思います。
CreativeCloud使っててよかった。
最後になりましたが、Adobeのみなさまありがとうございました。


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