解体前の大丸心斎橋店を撮影してきたよ
明けましておめでとうございます。
今年1回目の記事は昨年の書き残しをやっと仕上げたので、11月に参加してきた大丸心斎橋店本館の店内撮影会のことを書きたいと思います。
大丸心斎橋店の本館は1933年にウイリアム・メレル・ヴォーリズという建築家によって建てらられた、アール・デコの装飾が素晴らしいゴシック様式の建物です。しかし戦前からの古い建物なので老朽化や耐震構造の問題もあり、2015年12月30日に惜しまれつつ閉館・建て替え工事に入りました。
たまたまTwitterで流れてきた「解体前の撮影会」の告知を見て参加応募ハガキを送ったところ、幸運にも抽選に当たったので、2015年11月27日に写真を撮ってまいりました。 つたない腕で恐縮ですが、flickrに解体前の撮影会の写真をアップしているのでよかったら見てください。
当日は報道関係の方も多く来られていて、私もカメラの前でインタビューされたり写真を撮られたりを経験しました。(見かけていないのですがどこかに使われたのかな?)
関連リンク:W・M・ヴォーリズと大丸心斎橋店の建築美
館内撮影ツアー開始
まずは本館1階の北東出入口に19:30集合、約30人の集団でした。大丸の販促部の方が説明と進行をしてくださいました。ここで大丸さんから3つのお願いが出されます。
- 買い物中のお客さんの邪魔をしないこと
- お客さんの姿や顔を撮影しないこと
- テナントのディスプレイや商品、店員さんを撮影しないこと
大丸としてはこの条件があるので、基本的には一般の方の店内撮影を禁止されているとのこと。お話を聞きつつ、お客さんの邪魔にならないように人の少ないところから撮影会が始まりました。
エントランスの照明
エントランスの八角形の星型の照明や、横の従業員通路の天井装飾を見せていただきました。この八角形の星は全館共通で使われているモチーフです。
1階〜地階の階段と水道
次は階段の装飾です。手すりの意匠もきれいなのですが、踊り場のように交互から通路が交差するスペースがあって、洗面所のような水飲み場が設置されています。大丸本館が建設された当時では、このような遊びのあるスペースに水を引くというのがとても先進的でモダンだっだそうです。
1階エレベーターホール
閉店を待って、中2階の廊下から1階の化粧品売り場に移動します。ここの天井とエレベーターホールの装飾が圧巻でたくさん写真を撮りました。
玄関のステンドグラスとエントランス天井
最後は玄関上部のステンドグラスです。御堂筋側と商店街側の両方に立派なステンドグラスがあり、商店街側方はティファニー社に発注したといういわれがあるそうです。
エントランスの天井にもビッシリと星型の装飾があり、本当に細やかなところまで楽しめる建物だなと思いました。
古き良きものを惜しむことも大切、でも新しく再生した姿に期待したい
終了後、表に出たところで報道関係の方にインタビューされたのですが、その質問に「大丸本館の建て替えをどう思いますか」というものがあり、何となく雰囲気で「残念」とか「建て替え反対」のコメントを引き出したいのかな〜と少しうがったことを感じてしまいました。(←違っていたらごめんなさい)
確かに古くて美しい建物は大好きですが、耐震構造の問題や維持費のこと、心斎橋という立地、競合店やインバウンド需要を考えると今の大阪では建て替えは仕方ないのかなと思ったりします。
私はデザイナーとして、古くて美しいデザインは目で見て吸収し、自分の糧にしていきたいですが、同じぐらい新しく生み出されるものに期待したいと考えます。
大丸さんは、心斎橋本館をできる限り今の意匠を残して建て替えをすると発表されていますので、新しく生まれ変わる本館の姿を楽しみに待ちたいと思いました。