東大阪のフリーランスウェブデザイナー、坂本典子のブログです。

食関係のおいしそうなデザインを作るとき

新型コロナウイルスの感染拡大が始まって1年以上が過ぎました。
コハルデザインでは、昨年4月から「テイクアウト東大阪」というサイトのデザインと運用を担当しています。
パートナーのフォルトゥナ・坂本邦夫が制作したサイトで、当初は東大阪だけだったのですが、a-blog cms のテンプレートを希望するパートナーに配布したことで全国で8サイトも姉妹サイトができました。

最初はこんなに姉妹サイトが増えると思っていなかったので、ロゴとメインビジュアルのデザイン依頼に、「食品系のサービスサイトはこんな感じ」と考えるセオリーを元に、競合を調べながらパーツのデザインをしました。
食品関係のデザインとひとくちに言ってもさまざまです。ただ、一般的に広いユーザー層に向けて食をアプローチするときは「誰にでも好かれやすいおいしそうな見え方」を意識しているので、そんなデザインセオリーを書いてみたいと思います。

まずはなによりもおいしそうな写真

どんな媒体のデザインをするにしも「おいしそう」と感じる料理のイメージ写真が一番大切です。デザインの良し悪しは写真で決まると言っても過言ではありません。 一番はカメラマンに撮影してもらった写真を使うことが理想ですが、予算の都合など自分で写真を撮る場合は、撮り方にこだわってみましょう。

自分で撮影するときのポイント

  • 照明
  • 構図
  • 角度
  • 盛り付け

料理の場合、被写体の斜め45°(斜俯瞰)から撮ることが基本です。人の目線と同じなので、自然においしそうな見えるからです。また四角形の器やナプキンを敷いているときは、正面よりも斜めからとると奥行きが出てきます。

最近はInstagramでよく見かける真上から撮った写真を目にすることも多いです。上からの料理写真はおしゃれなのですが、ボリューム感や立体感が分かりづらいので、まずは斜めから撮ってみることがおすすめです。

光でツヤ・テリを見方につける

照明はできれば2方向からあてましょう。自分以外のだれかにスマホの照明をあてもらうだけでも全然違います。 窓からの自然光で撮ることが望ましいですが、室内の場合は白熱照明で暖かい光を当てて撮りましょう。 ソースのツヤや卵黄がトロッとしてるところ。お肉には反対色の緑の葉野菜を添えたり色合いを鮮やかに。パスタやサラダなどは高さを出して立体的な盛り付けにしましょう。

実際のデザインを解説

長々と書きましたが、私が食品関係のデザインをするときには大体こんなことをアタマにおいています。 今回はテイクアウト東大阪のメインビジュアルを解説します。

暖色でまとめる

暖かい光や色は料理をおいしそうに見せてくれます。赤・オレンジ・黄色・茶色などの暖色は、食欲増進色といわれています。 「飲食店 デザイン」で画像検索してみると、圧倒的に白熱照明がテーブルを照らしている写真が多く出てきますね。チラシやパンフレット、ホームページなどデザインすることも、暖色系を頭においてデザインすることが重要なセオリーです。

プロのカメラマンが撮影した写真なら割とどんな配色でもデザインがまとまるのですが、プロ以外の人が撮った写真だと、いくら写真を補正ししても見映えに限界なことがあります。 そんな時は、写真のそばに暖色を隣接するデザインにしておくとまず失敗しません。

ロゴが必要な場合はこだわろう

写真や暖色系の配色って基本的なデザインセオリーなので、あとはどう競合と差別化するかです。デザインのキモは写真なのであとはロゴ。サービスのロゴがある場合はちゃんと目立って印象に残るようように配置、ない場合にはこだわって作りましょう。 最近は無料でロゴを作ってくれるサービスもありますが、できればちゃんと有料で長く使えるロゴを作られることをおすすめします。


ロゴにはテイクアウトのアイキャッチによく使われるアイコンに、心を連想させるハートを入れています。「料理だけでなく、シェフやスタッフの想いも持ち帰ってもらいたい」そんなコンセプトを込めました。 テーマカラーは食欲増進の赤。この赤は配布するテーマの色とも同じです。 顔に見立てたロゴスペースのなかのペロリとした口もとは、大きさを調整してバランスを取っています。このペロリモチーフは大きすぎると下品な感じになるし、小さすぎるとポジティブさが控えめになるので難しいところです。

メインビジュアルは、実際にテイクアウトされそうな「和食(海鮮丼)・洋食ランチボックス・ピザ」の写真を配置。photoACからできるだけツヤ・テリのある立体的な写真を選択しました。 メインビジュアル以外にも、インスタのパネルやカードも同じモチーフを使いつつ暖色系での配色でデザインしています。



食品=口にするもの

食のデザインを考えるときは、「食品=口にするもの」という人間の本能や意識を忘れてはいけないと思います。 見た目でそれを伝える写真や色使いは、その本能に沿っていたほうが自然と受け入れらるので、じっくりと手に取るようなメニューブックやポップ、パッケージデザインなどは、アタマにいれておきましょう。

その上で、業種や価格帯、ターゲットにしたい性別・年齢なども、色やデザインを考えるにあたって重要なポイントになってきます。 人の目線・色の認識・書体・文字の大きさ・光の感じ方、などは年齢や性別によっても違いが生じるので、デザインをする際に考慮して、「おいしい」と感じさせるデザインをしていければいいと思います。


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