東大阪のフリーランスウェブデザイナー、坂本典子のブログです。

フラワーアレンジメント体験で感じた気付き

今年に入ってから思い立って、以前から興味のあったフラワーアレンジメント教室に通うことにしました。先日体験アレンジメントに行ってきたのですが、思った以上に普段から慣れ親しんでいる平面デザインと共通点があったので、そのことを書いていこうと思います。

フラワーアレンジメントの体験授業に参加

という訳で、さっそくフラワーアレンジメント初級コースの体験に参加してきました。 教室は吉岡さちこ先生主催のラ・ピエスフルーリさんです。 当日は私以外にも体験の生徒さんがいて、かわいい看板猫のはるちゃんをなで回したり先生といろいろお話をしたりして、楽しく体験をしてまいりました。

アレンジ行程

最初にアレンジに大切なオアシススポンジやお花の取り扱い方などを教えていただきます。その後、基本的な形の説明を受けてから、実際に教わりながらアレンジをしていきました。

基本シルエットを作る

まずはオアシスの上面中央に、縦のラインを引いグリーンの葉を刺していって、それを全体のシルエットの基本ラインにします。


イラスト:後ろのラインが広がるアレンジ「ファン」 この位置と向きに葉をさしてアレンジの基本型をつくる。正面前方向の葉は 花器の直径を基準に 100〜150%の長さに。正面上からの葉の角度

アレンジの正面にフォーカルポイントを作る

次にアレンジの正面から見て中央の「顔」になる位置に「フォーカルポイント」を作ります。この「フォーカルポイント」とは、1本でアレンジ全体の印象がきまる重要なポイントになるお花です。アレンジの全体の基本色相と同じ色で3本以上ある種類の中から、立体的で存在感のある姿の花を自分で選んでさします。

花と葉をバランスよく交互にさす

全体の基本シルエットができたら、次に3本同じ種類の花をさします。お花を選んでさしていくときは「長、中、短」と長さを3段階に分けてカットしてさします。その方がアレンジに高低のリズムが出て、より立体的になるからだそうです。次に葉もの3本を正面から見たときにオアシスが見えないようにさしていきます。

濃度の高い色の花からさしていって、薄い色の花は後まわし

手元にあるお花から好きなのものを1種類づつ選んでさしていくのですが、私はアレンジ全体の色みのバランスがとりやすいように、濃度の高い色のお花(チューリップやリューココリーネ)→濃度の低い淡色のお花(スイトピー)といった順番を選びました。この色の濃淡で生ける順番を決めるという自分の思考が、普段平面のデザインをしているときとまったく同じだったので面白かったです。

3点でポイントを決めてバランスとる

またお花は同じ種類のものを3本づつさしていくのですが、お花を頂点に3角形のポイントを試行錯誤していると、昔カーペットのデザイナーをしていた頃のテキスタルデザインの感覚を思い出して、ちょっと懐かしくなりました。

花柄のリピートパターン(縦横に繰り返されるタイル状の模様)のデザインをする時は、繰り返した時の柄の見え方を考慮して、3点をポイントに同じ要素を散らすことが多かったのです。それが1番ランダムに柄が見え、なおかつ柄クセがなく良いバランスになるからなのですが、立体造形であるフラワーアレンジでも、お花をさす位置で同じように三角で考えていくことができるって目からウロコでした。


イラスト:フォーカルポイント 3点でバランスのいい位置を決める。リピートのパターンで ランダムな柄をデザインする時に 3点でバランスを取っていた。

4本目のお花はグルーピング

また同じ種類の花で4本あるものは、最後の1本を短くカットして、先にさした3本のうちどれかの根本に添えるようにさします。これをグルーピングと呼んでいました。このバランスの良いポイントに小さい要素を添えるという手法も、テキスタイルデザインに通じるものがあります。

ポイントカラーの位置を決める

次に全体の花材で1本だけ色相が違う、アクセントカラーになるラナンキュラスを追加します。 このアクセントは、立体アレンジを見たときの輪郭線にあたる部分には重なってはいけません。また正面中央にさしても、フォーカルポイントがあるのでおかしくなります。アレンジ全体を額縁にとらえると、7:3〜8:2ぐらいの境界の位置が目安になります。 このバランスも平面デザインと通じるものがありますね。


イラスト:アレンジ全体を額縁としてイメージすると 上下左右このぐらいの位置に。

高低差を付けつつ立体でバランスをとる

最後のお花を刺したあとは、短くした葉物を空いているところにさしていき、バランスをとります。実際に手を動かして生けてみると、高低差のあるお花で立体の形状をつくるのがとても難しく、お花をさす位置を考ええこんでしまって四苦八苦でした。

立体のデザインは楽しい

完成した段階で、正面と左右から写真に撮ります。なるべく自然光があたるように、また背景からの光も入れて逆光ぎみに撮る方が立体感が出ていいそうです。 先にアレンジの写真を撮ってから、先生に位置やバランスがおかしい花や葉を生け直していただきました。先生の手直し前と後を見比べると全然シルエットが違います。


写真:自分で生けたアレンジ

自分で生けたアレンジそのままの状態

写真:先生の手直しが入ったアレンジ

先生の手直しが入ったアレンジ

立体のデザインは慣れていないので難しかったのですが、過去に経験した平面デザインの考え方を踏襲してアレンジしていったからか、「初めてでこんなに立体的にさせる人はとてもめずらしい。ユニークですよ!」と褒めていただきました。 あえて調子に乗って喜びたいと思います。 普段使わないような脳みその部位をフル回転させた気分で新鮮で面白かったです。

平面デザインで身についた思考が、立体デザインであるフラワーアレンジに生きてきたように、きっとこのアレンジで身につく感覚や理論がいつかWebデザインに役立つんじゃないかと感じますので、無理のないペースで続けていきたいと思いました。


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